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執筆者の写真Daisuke Koike

GITZO(ジッツオ)はいいものなのか?


GITZO

GITZO(ジッツオ)を知らない人はここには来ないと思うけど、一応、超簡単におさらいをしておく。

(詳しいサイトが十分あるから簡単にね)

GITZOとは三脚メーカーのこと。

雲台などの三脚がらみの機材メーカーであり、数ある三脚メーカーの中でもTOPを走っている。

三脚の二大巨頭(GITZOとHUSKY)とも言われる老舗中の老舗。価格も非常に高いので「高級ブランド」とも言われている。

各三脚メーカーは、GITZOの三脚をモデリングして生産していているので、どんなに良いものを販売しても「所詮GITZOのモノマネだ」なんて言わたりしている。

まぁ、ベンツを真似するトヨタみたいなもん。ベンツがGITZOで、トヨタがその他三脚メーカー。

さて、ではそのキングオブ三脚でもあるGITZOだが、そこまで良いものなのだろうか?を自分なりに検証してみるとしよう。

GITZOの価格は非常に高い。

とは言っても、今じゃGITZOよりも高価な三脚は山ほどあるので、GITZOだけがずば抜けて高いわけではなくなっているけど、それでも一番下のシリーズでも8万円代〜という値付けだ。

RRS(Really Right Stuff)などの三脚だと、GITZOと同じクラスでも、脚だけで17万とかしている。

高価な三脚が多くなってきているので、ふとするとGITZOの価格が良心的に見え始めたりするのだけど、量販店に行けば安価な三脚が五万とあるので、やはりGITZOは高価だな〜と思いだささる。

その価格に見合っただけの性能やクオリティがあるのだろうかと、じっくりと検証してみよう。

今ではハイクオリティと噂される中国製品も数多くあるので、それらとの違いを探してみた。

製品のデザインは、さすがキングオブ三脚と言われるだけあって、とてもとてもカッコいいと思う。とはいっても、これは個人的な見解でしかなく、「いや、もっと地味で普通なもので良い」と思う人から見たら、異端的な色とデザインかもしれない。

外観に対しては、これは完全な個人的な趣味要素だろう。

例えば、Manfrotto(マンフロット)の三脚は、差し色に「赤」を入れてくる。

これはManfrottoのロゴが赤であることに繋がっているのだけど、この「赤」のワンポイントがかっこいい!に繋がって、今では大部分の人から支持を受けている老舗メーカーだ。

GITZOのデザインは、一言でいうと「いぶし銀な大人」って感じだ。若者が持ってダメなわけではないけど、経験豊かなおじさんカメラマンが持っているとよく似合う。

また、一目でGITZOだとわかる「ノアール・デコール塗装」がアイデンティティーでもある。シルバーとブラックの、あの塗装だね。

これは、手触り感もすごく良くて、また所有欲を掻き立てる要素の一つだと思う。

GITZOを使ってますよ!

とアピールするポイントでもあると思う。このアピールポイントは、完全に自己満でしかないけど、自己満足させてくれるだけのステータスがGITZOにはあるということだろう。

高級ブランドと言われるのは、単に価格が高いだけではなくて、ブランドのクオリティの高さも併せ持っているのだろう。

いずれにしても、カメラファンなら「憧れ」るブランドであり、時に夢の対象でもあるかもしれない。

性能について見てみると、スペック的な数字はオフィシャルサイトで(それ以外にも数多くの個人サイトでも)十分公表されているし、今日の時点での最新のスペックを仮に載せたとしても、もしかしたら半年で追加されたりラインナップから消えたりする可能性もあるので、数値的なものはオフィシャルサイトを見るほうが良いと思うので割愛します。

だた、簡単に述べると、他のメーカーの追従を許さないほど、圧倒的な信頼と強度&軽さがある。

同じクラスの三脚で検証して見るとよく分かるのだけど、例えば国産メーカー(と言っても製造は中国)のVelbon(ベルボン)と比べてみる。GITZOの2型と言われるクラスは、Velbonでは6シリーズ辺りだろう。

GITZOの2型は、マウンテニアとトラベラーとあるが、ここではマウンテニアGT2532で見てみる。対するVelbonは、ジオ・カルマーニョの635M・645Mのデータを見てみると・・・

お互い同じカーボン三脚で、段数は3段、ボディ部分はマグネシウム合金という条件。

脚の太さはほぼ同じだが、センターポール未使用時の伸高はVelbonの方が低い。

これは、伸縮率がVelbonの方が高くコンパクトになるのに対し、GITZOは若干大きいのが故かも。

圧倒的なのは耐荷重の部分で、GITZOが脚だけで18kgを誇るのに対し、Velbonは7kgとなる。同じサイズでも2倍以上の差があるが、この耐荷重の計測方法はメーカ毎に違うので、厳密にいうとメーカーを跨いで評価するには難しいところ。

単純に数値だけで見てみると、脚部分だけの耐荷重でも大きな差がある。

これに雲台の重さがデフォルトで加算され、そこからカメラ機材の重さを足していく感じになるのだけど、雲台だけでも最低500g程度はあるので、推奨荷重が7kgだとしたら、カメラを乗せたら(当然レンズによって重量は変わるけど)残りのキャパ部分(余裕部分)が心細い。

え?機材全てのせて範囲内だったら良いんじゃない?と思うかもしれないけど

軽くて携帯性に優れているカーボン三脚には、反面、安定性の部分に弱点がある。

これがカーボン三脚のデメリットと言われる部分だ。

例えば、野外での撮影時、無風なら問題ないけど風が強かったりすると三脚の軽さが仇になる。

特に、長時間露光をさせるシチュエーションの場合などは、作品にブレに現れてくるのだ。

こんなときは、三脚にウエイトを下げたりして、三脚自体の重量をかさ上げさせる必要がるのだけど、大抵は2kg〜4kgのウエイトを下げることが多いから、それを考慮した耐荷重が必要になるわけだ。

GITZOの場合は、三脚自体は非常に軽量にしつつも、強度を異常に高めて耐荷重を上げている。

この辺りの考え方が素晴らしい。携帯時は軽く、しかしその軽さが仇になることも考慮して強度を高め、耐荷重に十分すぎる余裕を持たせる。

さすが三脚の老舗と言われるだけあって、世界中のカメラマンから支持されるだけのことはある。

一貫してスクリュータイプの伸縮システムを採用しているところも拘りがある。

今時はワンタッチレバー的なシステムで脚を伸ばしたり畳んだりするモデルが多い中、昔から変わらないスクリュータイプ(回して緩めるタイプ)を全モデルで採用しているのは、そのシステムが一番確実で、かつ信頼でき、メンテナンスがしやすいということである。

メンテナンスしやすいということは、それだけ長く使用することができるし、部品点数も少ないことから(シンプルな構造)補修も工具なしで簡単に行うこともできる。レバータイプも良い面はあるのだけど、収納時にガサばるのがいただけない。また定期的に工具でメンテナンスしないとならない。

スクリュー式はシンプルが故に、操作も分かりやすく確実なシステムなのだ。

このために、スクリュー式じゃなきゃ三脚は買わない!という人が多い。(筆者も同意見)

ただし、GITZOが絶対!というわけではない。

他にも素晴らしい三脚は数多くあるし、一番大事なことは「使用者に合っているか?」であろうと思う。

廉価版の三脚であったとしても、それを使用する理由がキチンとあるのであれば、それは使用者にとって「必要」なことであり、そこに「いやGITZO以外はダメだよ」というのはナンセンスである。

理由があってそれを使っているのであれば、その人から見たらGITZOは完璧ではないのだ。むしろGITZOは必要ないと言われるかもしれない。

逆に、なぜその三脚を使っているのか?という質問に対して、明確に答えれない場合「なんでも良い!」の部類であろう。「安いから」も十分な理由だが。

数多くの三脚を渡り歩いてきてGITZOに行き着いた人は、GITZOでなければならない理由が必ずあるはずで、その人からみると「GITZOは素晴らしい三脚だ!」となるわけだ。

かく言う筆者も、GITZOを愛用する一人である。

最初はアルミ三脚を数本使用し、多くの現場に持ち込んでいた。

その頃は、カメラ機材すら満足に扱えていなかったので、とにかく撮影することに一生懸命で、カメラを固定する三脚も、とにかくブレなければ何でも良かった。

次第に経験値がついてくると、現場に持っていく道具すら割愛できるようになる。

少しでも軽量化が必要だと気づくわけだ。全て車移動ではないわけだし、車移動したとしても駐車場からは背負って歩くわけなので、必然的に携帯性や重量を重視し始める。

機材の携帯を考えたとき、最もガサばるのが三脚だ。

当時はアルミの3段・脚の太さ26mm(SLIK製)を使用していたのだが、これは畳んでも長さがあった。

そのために機内持ち込みは完全にダメだったし、長さゆえにリュックなどにセットできないので、単独で背負って持ち運ぶ必要があった。

このことから、次に購入したのがVelbonのジオ・カルマーニョN645M

カーボン三脚のためにとても軽量で、4段にしたことで携帯性もかなり改善された。

しばらくはこれで問題なく過ごしていたが、段々と仕事の幅が広がっていくにつれて、耐荷重の部分で心細さが出はじめてきたわけだ。

その後にManfrottoの055シリーズを購入するが、アルミ製を購入したために程なくして重量に泣かされた。Manfrottoの三脚はとても素晴らしいと思っていたが、3.5kgもあると持ち出すのに考え始める。

そこで様々な三脚を何度も量販店に赴いて検証し、ネットの情報やレビュー、オフィシャルの歴史やウンチクなどの隠れ要素(この部分が実は最も大事だったりする)を吟味した結果、GITZOに行き着いた。

まず堅牢性!これは文句なしで他を圧倒してる。そしてクオリティ、長年カメラマンをやって憧れの眼差しで見てきたせいもあるが、キングオブ三脚の異名を持つだけの存在感がある。

そして軽量性。これは群を抜いている。同じクラスの三脚と比べるとよく分かるが、耐荷重の高さの割には重量が軽い。より強固な三脚を求めようとしたら、GITZOの軽量性は魅力が高い。

デザインも素晴らしいと思う。一目でGITZOだと分かることもあるが、仮に三脚を知らない人から見ても「かっこいい」と思われるフォルムなのだ。

素人目でも、普通に見かける三脚とは違うのだ。

携帯性を重視するならトラベラータイプがある。

普通にガシガシ使うならマウンテニアタイプが、十分なほどのスペックでラインナップしている。

より高度に使用するならシステマティックというタイプもある。

一般的なカメラなら(フルサイズでもAPS-Cでも)マウンテニアなら2型以下で十分すぎる性能があるが、超望遠などを使用するなら3型にしておくと完璧だ。

4型以降はシステマティックでしか存在しないが、4型〜5型はカメラ自体も大型カメラだったり(大判カメラ)業務用ビデオカメラを使用しない限りは必要ないと思う。が、自分色でカスタマイズしたい人はシステマティックの3型もある。

移動、登山、リュック携帯、海外などに持ち出すならトラベラータイプが活きてくる。同じ太さでも収納性能が高く、よりコンパクトにすることができ、機内への持ち込みも可能となる。

GITZOの場合全ての三脚がカーボン製であるが、カーボン強度に絶対的な自信があるからだろう。昔はアルミ製も存在していたが(師匠が使っていた)現在のラインナップには存在していない。

ちなみに、GITZOは足の太さでナンバリングされているので、一度覚えると非常に簡単に各製品を理解することができる。以下で簡単にそれを説明する。

<トラベラータイプ> 

脚が180度折りたためるモデル。(GITZOが世界初で開発した機構だが、今では各社が真似している)2型までラインナップされる。

0型:脚の太さ 21.7mm

1型:脚の太さ 25.3mm

2型:脚の太さ 29.0mm

<マウンテニアタイプ>

スタンダードモデルだが、全ての要素を備えたパーフェクトモデル。3型までラインナップされる。

0型:脚の太さ 21.7mm

1型:脚の太さ 25.3mm

2型:脚の太さ 29.0mm

3型:脚の太さ 32.9mm

<システマティック>

拡張性の高いモデルで、自分専用に各パーツをチョイスすることができる。3型以上をランナップする。

3型:脚の太さ 32.9mm

4型:脚の太さ 37.0mm

5型:脚の太さ 41.3mm

GITZOの三脚の型番はGTから始まるが、これは

G = GITZO

T = TRYPOD(

ちなみに雲台はH = Pan Head)

以前はGKもあったがその意味は不明。

アルファベットの後、最初の番号が型番(上記)で、その次が素材を表している。

3:アルミ

5:カーボン

7:マグネシウム

その次の番号は脚の段数。

3:3段

4:4段

5:5段

最後の番号は世代番号、例えば2なら第二世代、5なら第五世代などなど。

ラストにアルファベットがあればタイプ。

T:トラベラー

S:システマティック

0:オーシャン

L:ロングモデル

XL:エクストラロングモデル

GT:ジャイアントロングモデル

QR:クイックリリース

QD:クイックリリースDプロファイル

繰り返しになるが、GITZOが「絶対」ではない。使用者のニーズにどれだけ応えれているかで、三脚の良し悪しは決まってくるのだと思うのだ。

筆者は、いろいろな三脚を使用して来た結果、GITZOに行き着いただけである。

だから筆者にとってのGITZOは、現時点では「最高の三脚」であるわけだけど、それはGITZO以上の三脚を知らないから・・ということでもあるのかもしれない。

現在は、GITZO以外にも所有していて、ある用途でManfrottoも使っているし、また別な用途でVelbonもSLIKも未だ健在であるのだけど、そうやって色々使ってみると、やはりGITZOはいいな〜と思わけだ。

と言っても不満がゼロではない。

敢えて書くとすれば、カーボンに手跡がつきやすいこと。それくらいだろうか。

GITZOが素晴らしいと思うのは、あくまでも三脚の話であって、雲台に関しては、実はもっと素晴らしい雲台があることは知っている。

雲台にも種類あって、一般的な3w雲台(2wも含め)のほか、自由雲台(ボール雲台)オフセット雲台、ジンバル雲台などなどがある。

例えば自由雲台だと、僕が今一番だと思っているのはFLMの雲台(ドイツ製)だ。

自由雲台は、ほぼほぼどこのメーカーもARCA SWISSを真似ていると言っても過言じゃないと思うが、本家を凌駕した性能がFLMにはある。

んで、GITZOの自由雲台は?となると

機能的には不備無くかもしれないが、操作性に関しては60点くらい。(個人的見解)

操作性が優れているだけならRRS(Really Right Stuff)の雲台や、中国製でもSIRUIなどの方が使いやすいかもしれない。Manfrottoの自由雲台も評価は高い。特に業界初のギヤ雲台や、油圧雲台などプロ向けのラインナップが充実している。

本家(ARCA SWISS)はマニア好みの様で、決して操作性が高いわけではないらしい。でも圧倒的にファンが多く、いつかはARCA SWISSなんて言う人もいる。ファンの意見は一貫して「素晴らしい雲台」と言っているが、ファンだからであろう。

GITZOの自由雲台の評価は、各所でもそこまで高くないが、それでも筆者はGITZOの自由雲台を2機所有して、常用雲台として使用している。筆者が高く評価しているFLM雲台が余裕で買えるほど高価なGITZO雲台なのにだ。

その理由は、もう一言しかない。「デザインがかっこいいから」である。

自由雲台というと、本家をモデリングしているだけあってどれもこれも寸胴型なのだけど、GITZOは、自社のトラベラーの収納に合わせた形状を開発したが故に、他にはない形をしているのだ。

上から見ると三角形になっているので、何処と無く尖ったデザインにも見えてくる。他が似たり寄ったりの形状なか、GITZOだけ異端色が強い。

これに惚れている。「ARCA SWISS」が使いにくいと言いながらも愛用している人と同じ気持ちだと思う。

操作性は、使って使えないことはないけど、フィリクションダイヤルなどに不満がある。

いろいろなレビューを見ると「非常に便利」「使いやすい位置」などと評価されているけど、実際に使って見ると、間違って一緒に回してしまったりすることが多いので、別な場所に独立してくれていた方がいい様な気がする。また、雲台自体の耐荷重は非常に高いのだが、横にした状態(サイドアームなどを付けて、俯瞰状態)だと途端に動きが悪くなる部分も少し不満だ。しかし、これはどこのメーカーの雲台も同じかもしれないので、自由雲台の弱点なのかもしれない。

クイックシュープレートを外すときも、ロックをほぼ緩めないと外れない。他のメーカーは、ある程度緩めたらロックボタンなどで簡単に取れるのに、GITZOにはその機構がない。多分付けない理由があるのだと思うけど(壊れやすいとか)そのわけを知らないので好き勝手に言ってる。

ということで、まとめだけど

僕自身GITZO(GT-2542 & GT-2545T)を所有している人間からすると、確かにGITZOは「一度使ってみると、もう他の三脚には戻れない」魔力はある。それ以上良い三脚が見つけれないのだ。

もちろん、それ以上にクオリティもよく機能性も高い三脚はあるのかもしれないが、筆者自身がそれを手にすることも、目にすることも現状では無い以上、現時点ではGITZOが最高だということになるのだと思う。

雲台も2機(GH-1382QD & GH3382QD)を使用しているが、雲台に関しては「もっといい雲台を知っている」のだけど「それを購入する気はない」となるかな。

三脚の実力は文句なし(むしろ十分過ぎてお釣りがくる)雲台は、機能面で若干不満はあるが、デザインには大満足しているので、多少使い勝手が悪くても許せる。

GITZOは高くて無理!と見向きもしなかった方に!(あるいは横目で見てきた方に)

何本も三脚を買ってきたから言えるけど、安い三脚をいくつ買っても満足されることはないと思うので、

であれば、思い切ってGITZOを買ってみるのも手だと思う。

売り場の展示品をいくら触っても、GITZOの隠された良さはわからない!筆者もなんども検証に赴いたが、購入してから知った良さがある。逆に、売り場で「これでもいいかな・・」と手にしたその三脚は、売り場で分かる一部分の良さでしかなく、その良さは購入して数日でスタンダードになるでしょう。

つまり、もっと上にいいものがあると知っているので(あるいは欲と不満が出てくるので)購入前のキラキラ感は消えていくということです。であれば、思い切ってGITZOでもいいのである。

そう思って僕は2本所持しているけど、未だ他製品に目移りすることはない!

GITZOは良いものだと断言できる。

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